台風が来ると、私は何気にわくわくしてしまいます。
ちょっと不謹慎で恐縮ですが。
台風の季節、天気予報を見ると、、
右側が強いって聞くことがありますよね。
でもなんで台風の右側が強くなるのか?
左側が強くなったりすることは無いのか?
右と左でそんなにはっきりと風の強さに差があるのか?
ここでは、台風の右側が強い理由、
左側が強いこともあるのか、
台風の右側と左側で強さにどのくらい差があるのか、
その疑問をきっちり解説しています。
台風の右側の方が強い理由
実際、台風は右側の方が上下左よりも強いというのは事実です。
ただ、一言に右側と言っても、
天気図を見て右側ではなく、
正しくは台風の進行方向を主観に右側です。
そして、台風の右側が上下左よりも強い理由は、
その台風の進行方向と回転方向が主な理由になります。
台風は超巨大な空気の渦巻きで、
常に台風の目を中心に回転しています。
基本的に台風圏内の風向きは、
その台風の回転方向に沿って、
台風の目に引き寄せられていきます。
そしてその回転方向は、
台風を上から見て左回り(反時計回り)に渦を巻いています。
この時単純に考えて、
風向きは場所によって違えど、
右側と左側で強さは変わりません。
しかしさらに、
台風が移動することによって、
その移動速度が渦の風力に加味されます。。
台風の渦は左回りなので、
右側には台風自身の渦の風力(進行方向に向かう風)に加え、
台風の移動速度が上乗せされさらに強くなるのです。
逆に台風の左側は、
風向きが右側とは逆(後方へ向かう風)になるので、
台風の移動速度と相殺されて風力が弱くなります。
よって、
台風の右側と左側で強さに若干の差が生まれます。
これが、台風の右側が強い理由です。
ちなみに、
台風の進行方向右側を「危険半円」と言います。
こんな呼び方があるくらいですから、
やっぱり危険です。
反対に台風の進路左側は「可航半円」と言います。
風力が弱めなことから、
まだ舟を航行できることから「可航」と付いたようです。
台風の左側が強いときもあるのか?
台風は左側のほうが強くなることはありません。
前述で、台風の右側が強い理由を解説しましたが、
これは台風の渦の回転が常に左回り(反時計回り)だからです。
回転方向が左回りな限りは、
進行方向の右側が常に他よりも強いことになります。
台風の回転方向が決まっている理由
台風の回転方向が決まっている理由は、
地球の自転によって生じる「コリオリ力(こりおりりょく)」が関係しています。
台風の元になる台風の目は低気圧で、
回りの空気を吸い寄せるのですが、
南北から吸い寄せられた空気は、
まっすぐに台風の目に吸い寄せられるのではなく、
南北それぞれの気流は、
コリオリ力の影響で進行方向が右にそれます。
そして逸れながらも台風の目に吸い込まれていきます。
つまり、南北どちらの気流も、
台風の目を中心に左回りに動き台風の渦を形成するのです。
南半球の台風は時計回り?
ちなみに、
台風が左回りに渦を巻くのは、北半球に限ったことです。
北半球だから、台風の渦は左回りになるのです。
南半球では、コリオリ力の影響が逆になるので、
南半球で形成される渦は時計回り(右回り)になるのです。
「ん?じゃあ、南半球の台風は左側が強いってこと?
だとすれば、やっぱ左側が強い台風もあるってことになるね。」
確かにそういうことになりますね。
しかし、
残念ながら南半球に台風は無いようです。
ただ、正確には「台風(タイフーン)」という名称ではなく、
一般的には「サイクロン」と言う名称がスタンダードです。
他にも「ハリケーン」や「ストーム」といった言い方もあるようですが。
ちょっと屁理屈っぽいですが、
台風とは、元々英語の「タイフーン(typhoon)」の当て字で、
「熱帯低気圧」を意味しますが、
サイクロンやハリケーンもタイフーンと同じで、
熱帯低気圧のことをさします。
この熱帯低気圧は、
地球上のどこの地域で発生したかによって名称が変わります。
タイフーン(台風)は、北西太平洋で発生した熱帯低気圧
サイクロンは、南太平洋・インド洋で発生した熱帯低気圧
ハリケーンは、北大西洋・北東太平洋で発生した熱帯低気圧を言います。
呼称が違うだけで、本質的には、全て同じタイプの気象現象。
タイフーン(台風)は太平洋地域やアジアを襲うストーム(嵐)の気象学的な専門語なのです。
つまり呼称だけとは言え、
台風は北半球にしか出現しないので、
左側が強い台風は存在しないと言うことになりますね。
台風の右側と左側で強さの違いはどれくらい?
台風の右側と左側で強さの違いは、
色んな要因も絡んでくるんで一概には言えませんが、
単純に渦の回転が一定と仮定したならば、
加算、相殺される風速は、
台風本体の移動速度によると言うことになります。
移動速度も、その台風個々の個性によって変わりますが、
風速は、「秒速/メートル(m/s)」であらわすので、
仮に台風の移動速度を、時速36kmとしたとき、
36km = 36000m
1時間 = 3600秒
36000m ÷ 3600秒 = 10m/s
つまり、この台風の場合、
右側は+10m/s
左側は-10m/s
台風の右側と左側で20m/sの差が出ることになりますね。
ただし、
これはあくまでも外的要因をまったく考慮しない計算です。
それに、台風にも「風の息(※1)」があるので、
瞬間風速の最大値は平均風速の5倍にまで達することもあるほどです。
これは相当な誤差がありますね。
※1「風の息」とは
風、つまり気流は、常に一定の速度で流れているわけではなく、
急に弱くなったり凪いだり、
もしくは、突風のように突発的に強く吹いたりと、
強弱を繰り返しています。
また、風向きも同様で、
常に一定の方向に流れているわけではありません。
このような風の変化を「風の息」と言います。
大気の状態が不安定なほど、風の変化は激しく、
「風の息が激しい」等と形容したりします。
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