そこでここでは、基本的な昆布と鰹の濃いだしの取り方(昆布と鰹のうまみ成分が合わさることで、うまみの相乗効果が得られます)や、それでも出汁が薄く感じる原因と対策について詳しく解説します。
濃いだしの取り方
普段よりも濃い目の出汁の取り方は、基本的な出汁の取り方はそのままに、水の分量に対して、出汁の素材の量を大幅に増やすことです。大体1リットルの水に対して、昆布10cm角程度を1枚、鰹節25グラム程度が基本的な大体の比率です。(※作り手によって多少の誤差はあります)濃い出汁汁にしたいなら、単純に昆布と鰹節を倍にしてみましょう。和食の巨匠「道場六三郎」さんの、濃い出汁の取り方は、2~3リットルの出汁汁を作るのに、大き目のゴミ袋ほどの袋いっぱいの鰹節を使っていました。
濃いだしをとるポイント
他に濃い出汁を作るポイントを挙げておきます。
- 昆布は長目に水に浸けておく。二時間~一日
- 鰹節は厚削りのものを使う(削り節)
基本的なだしの取り方
あとは、基本に沿って出汁を取るだけです。とは言え、料理人によって出しの取り方には若干の違いがあります。どれも間違いではないようですので、多少のぶれは問題ないです。
1.昆布を水に浸す
昆布の表面についたの「白い粉」は、旨味成分なので落とさずそのまま使います。まずは昆布に、キッチンバサミ等で切れ目を2~3箇所程度入れておきます。切れ目を入れたら鍋に水を張って切れ目を入れた昆布を長めに浸しておきます。二時間~一日程度。
2.ゆっくり沸騰直前まで火にかける
鍋を弱火~中火程度の火にかけて、10分~20分くらいかけて、じっくりと沸騰直前まで昆布のうまみ成分を抽出します。強火で一気に煮出すと、昆布のうまみ成分がしっかりと出せず、えぐみや海藻独特の香りが出てきてしまいます。沸騰直前で鍋から昆布を取り出します。
3.沸騰直前の目安
沸騰直前の目安としては、鍋の底などに細かい泡が立ち始めたり、鍋のふちが「ふつふつ」となってきたくらいです。温度なら大体90℃くらいです。「グラグラ」となったら手遅れです。
4.鰹節を入れる
昆布を取り出したら、一度沸騰させてそこに鰹節を投入します。鰹節を入れきったら火を止めます。「アク」が出てきたらお玉などで取ります。(お好みで弱火で5分程度ならに出しても良い)放置して鰹節が全部鍋底に沈むのを待ちます。
5.出汁汁を濾す
鰹節を取り除くために濾して完成です。なるべく目の細かいザルを使いましょう。キッチンペーパー、ガーゼ、裏ごし器等が良いですね。ポイントとしては、ゆっくり自然にドリップすること。基本的に鰹節は絞りません。絞ることでえぐみや苦味が出てきてしまいます。ただ、それが気にならないなら絞ってもいいでしょう。一度試すのも良いですね。
また、出汁汁に「コク(味の奥行き?)」を出したいなら、煮干しや椎茸などで合わせ出汁にすると良いですね。
それでも出汁の味を薄く感じる場合の原因
濃い出汁を取ったのに、まだちょっと薄く感じる場合、以下のことが原因として考えられます。
出汁に塩分はつき物
出汁汁はそのままではやはり物足りないものです。基本的には出汁に塩分を足すことで、美味さを感じます。出汁そのまま味を生かしたいといって、塩分を極端に減らすと、せっかくの出汁も発揮されません。例えば、味噌汁の味噌を減らすと、やっぱり味気ないです。
また、油揚げやごま油など少しだけ油分を足すのも有効ですね。
濃い味付けに慣れてしまっている
現代人は、濃い味付けや化学調味料などに慣れてしまうことで、自然出汁の繊細な味を感じにくくなっている傾向にあります。普段、辛いもの等の刺激の強いもの、ポテチなどのジャンク菓子やジャンクフードを食べていたりとか、特に「ほん出汁」など出汁の素を子供の頃から使っている方は、大分濃い舌になっています。この場合は、長い時間をかけて普段から薄味に矯正していくしかありません。それこそ半年以上とか。
タバコや薬の副作用
タバコを吸っている方は、ヘビーなほど味覚が鈍っているといいます。また、何か薬を常用している場合も、副作用で味覚に何らかの狂いが出ることもあります。美味しい出汁の味を堪能したいならこの辺の改善も必要ですね。
出汁の出る具財をふんだんに使う
出汁は色んなものから出ます。例えば、豚肉からもいい出汁が取れますね。出汁汁だけでは物足りないなら、こういった食材をあわせることで味を強くすることが出来ます。
もっと濃い目にお手軽!出汁粉末を手作り!
出汁をもっと濃くとなると、もはや繊細さにはほど遠いものになって来ますね。ならば手作りで出汁の粉末を手作りしてみてはいかがでしょう?出汁の素材を粉末にして、素材さら頂くものになります。粉末を入れてお湯を注ぐだけでしっかり出汁が出る上に、粉末素材も全部食べるので栄養も満点!汁物だけでなく色んな料理に振りかけてもいいし、保存もききます。
「昆布」「鰹節」「焼きあご」「いりこ(煮干)」「しいたけ」など、出汁汁に使われる素材をミルサーで粉末にするだけです。
ポイント
粉末にする前に下ごしらえ。「いりこ(煮干)」は、頭と内臓を取って使いましょう。素材の状態により電子レンジなどでなるべく水分をとばしておきましょう。電子レンジで水分を飛ばすなら、1分半600Wで加熱し、一度冷ましてからもう一度1分半600Wで加熱します。
粉末の出汁は、乾燥剤と一緒に冷暗所に置けば、常温で2ヶ月程度保存できます。