この記事では、出汁の味がしないと感じるのはなぜなのか?について詳しく解説します。
出汁の味がしないのは普通のこと?
まず前提として、出汁の味がしないと感じるのは、割と普通のことです。
そもそも味覚には、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」の四つがあります。これは国や時代、書籍などで考え方の違いがあり、味覚の数にはけっこうな誤差があり、細分化すると、何百と言う味覚の種類があるとも言われていますが、世界で根底的に定義されているのは、この4つの味覚です。
出汁の味は、日本人が発見した独特の「旨味(うまみ)」で、これら4つの味覚とは別ものですが、とても繊細なことから、一つの味覚として定義することに議論が尽きず、味覚の数には未だに誤差があり、決定的なものはありません。
つまり、出汁はそれだけ味としては薄く、味として感じるよりも、どちらかと言うと「風味」として感じるものなのです。出汁の味がしないと感じても無理はありません。出汁はそのままではなく塩分や油分と合わさることで、その存在を強く感じることが出来ます。
しかし、実際に昆布と鰹節での出汁の取り方に間違いがあったり、味覚異常が原因で、出汁の味がしないこともあるので、出汁の基本的な昆布と鰹節の出汁の取り方や、味覚異常の原因等についても確認しておきましょう。
昆布と鰹節の出汁の取り方
出汁の取り方が間違っている場合、しっかりと出汁が取れていなくて薄いこともあります。昆布と鰹節の出汁の取り方については、基本的な濃い出汁の取り方として別の記事にてまとめていますのでそちらをご参照ください。
味覚異常の原因
何らかの味覚異常が原因で、どんなに出汁が濃くても味がしない場合があります。以下に割と身近でありがちな味覚異常の原因をピックアップします。該当するものがないか確認しておきましょう。
鼻の詰まりで味覚を感じなくなる
風味は主に香りとして感じ取ることが出来ます。前述したように、出汁のうまみは風味に近いので、鼻がつまり気味の場合味覚がにぶります。鼻をつまんで物を食べると、味を感じにくいものなので、風味にが命の出汁では味がしないと感じることでしょう。風邪や鼻炎などで鼻の通りが悪いのなら、改善してから出汁を試してみましょう。
栄養失調で味覚障害になることもある
栄養失調で味覚障害になることもあります。ミネラルの一種である「亜鉛」が不足することで、舌の味覚神経に乱れが生じる可能性があります。普段の食事による栄養バランスを確認してみましょう。牡蠣等は亜鉛を豊富に含んでいますが、亜鉛のサプリメントもあるので、栄養の偏りに心当たりがあるのなら試してみてください。
歯周病が味覚異常をもたらす
歯周病はとても怖い病気です。その症状は、ときには口の中だけにとどまらず、脳や心臓に影響を及ぼすことも。また、自分の歯をを失い入れ歯になることで、味覚にも変化が現れます。入れ歯になると、濃い目の味付けを好むようになる傾向が報告されています。繊細な出汁の味がしなくなることもあるでしょう。
舌の味覚障害は病気が原因なことも!
舌自体が病気になり味覚障害になることもあります。他の原因に心当たりがないのなら、舌の病気を疑ってみてもいいかもしれません。味覚神経の異常や、ひどいものになると舌癌等のにも注意しましょう。口内炎が何週間も治らないようなら、病院に行ってみることをおすすめします。
脳が味覚障害の原因?
味覚自体は舌にありますが、その味の感覚を返しているのは脳みそです。脳にある味覚野に何らかの障害が及んだ場合、当然味覚障害の原因になりえます。他の体の部位に何か僅かでも不具合が出ていないか?注意しましょう。
食中毒が味覚障害を引き起こす?
夏場に起こすような食中毒とはちょっと違い、野菜、きのこ、海産物などに含まれる、極微量の毒素によって味覚障害を起こすことがあります。
出汁の味覚は子供の頃で決まる?
今はいちいち出汁を取らなくても、ほんだしなど手軽で簡単においしい出汁の味を楽しめますが、こういった濃い味の化学調味料に慣れてしまうと、昆布や鰹節から自分で取った出汁では味がしないとか、風味にしてもちょっと物足りないと感じてしまうものです。特に味覚は大方子供の頃に決まってしまうそうです。子供の頃から濃い味付けの食事で育ってきたのなら、繊細な出汁の風味を薄く感じてしまったえも仕方のないことですね。こういった理由で出汁の味がしないと感じる方が多いのではないでしょうか?大人になってからでもある程度薄味で矯正すれば、多少は回復も見込めますが、半年以上とかとても時間がかかります。濃い味付けばかりだと、高血圧や脳梗塞にもつながりますから、薄味に慣らしていくこともいいと思います。
最後に
出汁は、味と言うより風味なので、味がしないと感じることは当たり前といえば当たり前でした。塩分や油分とあわせることでおいしい味付けになるのです。また、出汁の味がしないのなら、味覚に影響を及ぼす病気を疑ってみることも覚えておきましょう。子供の頃から濃い味付けになれている方も、繊細な味わいを感じ取るにはなかなか苦労しそうです。今後の健康のためにも薄味になれて、繊細な出汁の味を楽しみましょう!!