身内に不幸が訪れてしまったなら、一年間の喪中があり、四十九日の忌中があるわけですが、忌中では慎ましく生活を過ごすことが望ましいとされていたりします。一方喪中では食べてはいけないものがあるなんてことをよく聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか?
肉類は?魚類や生ものは?
そこでここでは、喪中に食べてはいけないものはあるのか?あるならそれは何なのか?を解説します。
喪中に食べてはいけないものはあるのか?
喪中に食べてはいけないものについては、その方々の宗教や地域性によって非常に細かく変わってくるようです。なので一概には言えませんが、結論から言いますと、日本全国的に多い傾向としては、喪中に食べてはいけないものはありません。よく喪中に食べてはいけないものとして、肉や魚、生ものがダメだといわれますが、食べても問題ありません。
しかし、昔ながらのしきたりとして、仏教的には肉や魚は喪中に食べてはいけないものです。仏教の戒めの一つには「不殺生戒」と言うものがあり、これは生き物を殺してはいけないという決まりごとです。ここで言う生き物とは、植物以外の生物を指していますが、時代とともに「四足動物」と言う解釈になった地域もあります。また、にんにくやニラなど、匂いの強いものも食べてはいけないものに入っています。これは現在でも一部の地域に風習として残っています。
これは前述したように日本全国的に多い傾向で、宗教や地域差で非常に細かく違ってきまが、例えば、九州の浄土真宗では、喪中期間に四足動物のお肉は食べてはいけないとする地域が今でもあります。こういった地域では、肉や魚介類を一切使わない「精進料理」を食べます。
しかし多くの地域では、通夜の席でも普通に肉料理やお鮨が出てきます。魚介類のフライや、魚の塩焼きなんかも定番のようです。通夜の席で皆さんお酒を飲みながらお鮨をぱくついています。私もおばあちゃんのお通夜でお鮨を沢山食べた記憶があります。お坊さんも普通に肉や魚を食べますしね。
実は喪中に肉や魚を食べること自体は元々問題ない
昔からの仏教の決まりごとの「不殺生戒」によって、肉や魚を食べないことになっているなら、やっぱり喪中に食べてはいけないものなのでは?とも感じてしまいますが、実は「不殺生戒」にはまた違った解釈があるようです。
仏教としては、喪中に動物のお肉を食べることは禁止とされていますが、実際はその場のために殺された場合に限るのです。つまり、そのときの通夜のために殺された動物の肉は食べてはいけないものだけど、そうでないなら、喪中でも肉や魚を食べること自体は問題ないということなのです。
なので、喪中とは関係ないところで殺された動物のお肉や魚をもらってきたり、買ってきたりして食べるのはいいとのことです。庭で飼っていた鶏を、通夜のために絞めて出すのはだめだけど、肉屋から買ったり、料理として注文するのはいいのです。
こうなると、出されたものを食べないで残し、無駄にするほうがむしろ罰が当たりそうですね。
喪中におせちは食べないもの?
喪中に食べてはいけないもの言えば、肉や魚など食材が思い浮かびますが、喪中におせちは食べてはいけないものとして挙げられます。これも地域の風習によって細かく違いはあるようですが、喪中にお祝い事は控えることが良しとされています。おせち料理は正月を祝うものなので、喪中に食べてはいけないものと言えますね。また「御屠蘇(おとそ)」のお酒も同様に喪中に飲んではいけないともいえます。
しかし、おせち料理も、祝いの器に入れなければいいことになっているようです。例えば、重箱などに入れないで、普段使っている普通のお皿に盛り付ければ、ものは同じでもおせちではないことになるのです。御屠蘇も、御屠蘇として扱わなければ、ただ単にお正月に飲むお酒です。
また、ここまでしなくても、服喪(ふくも)期間は、一般的には身内が亡くなってから四十九日間(地域によって違いはあります)を言い、それを過ぎていれば、お正月のお祝いをしてもいいことになっています。つまりおせちも御屠蘇も大丈夫になります。
最後に
喪中に食べてはいけないものはほぼないといっていい現在ですが、そもそも殺生をすることと、肉や魚を食べること自体は別なので、食べてもいいことにも驚きでしたね。しかし、今でも肉や魚などを食べてはいけない地域も存在していました。気になるようでしたらお寺等に問い合わせをしてみると良いですね。
また、喪中のおせち料理や御屠蘇も喪中に食べてはいけないものとして気をつけましょう。お祝い事としての料理は一応NGです。ですが、盛り付ける器や扱い方で食べてもいいことになるのもおどろというか、どうとでもなるというか。こうなってくると、時代とともに昔の厳格な取り決めがゆるくなってきたのもうなずけますね。都合のいい解釈をすれば大抵はOKになるのですから。